可能な限り
着用する人の生活に
役立つ服作りをしたい。

INTERVIEW with《KENJI HIKINO》Vol.3

2017.12.25 Mon

Q:毎シーズンのテーマなどはどういう形で決めていらっしゃるんでしょうか?

引野:僕は旅行が好きなので、毎シーズン展示会が終わるとリフレッシュをかねて、どこか自然を感じられる場所を探して旅に出るのですが、漠然と次のイメージを探します。自然界にいつも存在する水の音、月や太陽の光、砂の色や質感、石ころや葉っぱの形などは常に僕のインスピレーションです。

小林:2017AWは、どこを旅されてどういった要素がコレクションに反映されているんでしょうか?

引野:このシーズンでは、沖縄の離島を旅した時に見たサンセットや、現地で体験した乗馬やシュノーケリングなどのアクティビティから、色彩や馬の鞍やジョッパーズだったりのデザインに反映されています。また美しいサンセットを表現したく、写真はオレンジがかったライティングで撮影しました。

小林:想像していたよりアクティブに旅行されるんですね!そうしたご自身の体験や記憶から服を作られているんですね。

引野:実際に服を作る時には古着や軍服などのリサーチ、往年の名でザナー達の仕事も常に研究しています。また、絵画や現代美術を見ることも大切なことです。より洗練された美しい価値観を作っていきたいです。

小林:そうなんですね。作り方はブランドによって様々な方法があると思いますが、引野さんがご自身で、他のブランドと比べてここが違うと認識していると言うか意識している部分はありますか?

引野:服に対して、他のブランドと比べたことはありませんが、フォルムやシルエットの良さ、色彩の美しさ、素材の良さを感じてもらえたら嬉しいです。ぼくの服はフォルム、形が一番大切です。美しい形を作るにはどうしたらいいのかいつも
試行錯誤しています。僕はクリストバル・バレンシアガの造形バランスに強く影響を受けていて、バレンシアガは構築的で造形的なデザイナーの代表格だと思いますが、身頃からの続き袖や立体的なフォルムを作り出すための縫い目と素材、肩甲骨周りにしっかりと分量感のある形のものはとても美しいと感じます。分量感のあるもの、タイトなもの、シェイプされているもの、あえてペラペラなフォルムのもの。そのデザインの狙ったシルエットに対し、適切な袖付けと縫い目、脇線の落とし方を考えなくてはいけません。目的にあわせて真横にまっすぐ和気線を落とす場合もありますが、前の身頃は後ろの身頃より狭く、後ろの側の分量を多めにとり、後ろから布を覆ってくるようにもってきます。脇線が前にふっていくイメージです。

小林:服に包まれている感じは、実際に着用しているのを見るとよくわかりますよね。

引野:そうですね。形にこだわって作っていくことが、試着してもらえると購入に繋がることが多いとお店の方に言って頂けているのかなと思います。可能な限り着用する人の生活に役に立つ服作りが出来たらいいです。

小林:リピーターというかしっかりファンがついていますよね。実際にお客さんから直接声を聞いたりする機会もあるんですか?

引野:年に2回はポップアップを開催し、自分も接客することで生の声を聞くようにしています。購入下さるお客様の意見や購入して頂けなかった際にどこがダメだったのかなど、自分自身で体感するようにしています。

小林:最初に仰られていた日用品としての服であり、ファッションなんですね。日用品と聞くとカットソーやシャツなど定番のようなアイテムのイメージもあります。引野さんのコレクションを見ていると、スリットシャツは毎回出されているように思いますが、意識して定番アイテムを作っているのでしょうか?

引野:定番を作ろうと思って作ったわけではなく、お客様が定番にしてくれたという方がしっくりくるかもしれないです。服に限らずモノのデザインは人に求められてこそだと思うので、常にチャレンジしながらも人に求めてもらえるように努力したいです。

小林:そういうこともあってなのか、引野さんを見ているといわゆるファッションデザイナーとは少し違うのかなと思いますよね。名刺にも肩書きなどは記載されてないですし。

引野:ファッションデザイナーの定義がわかりませんが、名刺に関しては、最初にファッションデザイナーと名乗るほどの者でもないという気持ちがあったので何も書いていません。先ほどの定番の話と同じで、周りがそのように認識してくれるのであればファッションデザイナーなのかなという感じです。肩書きは僕にとって全く重要ではないです。

小林:そういう部分は一貫していますよね。自然に触れ合うのがお好きということで、旅行はお好きだと思うのですが、旅行以外で最近興味があるコトやモノはありますか?

引野:器が好きで、吉田直嗣さんという作家の器を少しずつ集めています。厚みや形が洗練されていて、ミニマルな雰囲気です。見た目と共に使いやすくとても気に入っています。人への贈り物としてもよく購入させて頂いています。

小林:とても素敵なので、出来るのであればBoiceでも扱ってみたいですね。笑 こういった陶器などの作品からも創作のヒントを得たりということもあるんですか?

引野:自分の価値観に合うものを身の回りに置いておくことが大切だと思います。

小林:Boiceでは、デザイナーの方がゲストバイヤーとして、こうした器などの服以外のものを紹介するのも面白いと思っているんですよ。

引野:そういったことも出来るなら、是非やってみたいですね。ご本人が許可して下さるのかはわかりませんが、吉田さんは富士山の麓の方で創作活動されていらっしゃるらしいので、機会がありましたら是非訪ねてみたいです。

小林:Boiceでは様々な取り組みでご一緒出来る可能性があると思うので、今後とも宜しくお願い致します。

引野:こちらこそ、宜しくお願い致します。

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