東京ファッションシーンのこれからを担う若手デザイナーによるトークセッション
《TENSER PERSON × KEISUKEYOSHIDA》
【Part.3/3】

国内のみならず海外への展開も視野に入れつつ、着実にクリエイションの幅を広げ深さを増していく2組のデザイナー。どこかでアシスタントやデザイナーを務めた経験はないという共通点を持つ彼らが今思うこととは?

2018.06.08 Fri

―現代という時代においてオリジナリティーを考える時、何かを発表した時点で過去の何かしらのモノとの類似性を指摘される可能性も少なからずあると思うんですが、作り手としてどこまで配慮する必要があると思いますか?しっかりケアするためにはそれなりの知識や時間も必要だと思いますが。

吉田:もし新しい提案が被ったらそれはそれで仕方ないんじゃないですか。もちろん、コレクションを作る上でリサーチはするけど、それ以外にも自分が見たり着たりしてきたものの蓄積って引き出しの中に無数にあると思うし、それらを無意識のうちに引っ張り出してデザインしてる事だってゼロではないだろうし。

ただ、そのデザインをそのコレクションの中で作る意味っていうのがあるし、もしかしたら受取り方次第っていう部分もあるのかもしれない。

デザイナーは、大きな流れの中でその時その時に物事を考えて次の一手を考えているので、似てしまう事もしばしばあると思います。でも、前のシーズンの他のブランド、例えばCELINEやBALENCIAGAのコレクションを見て、何も発展させずに、それを提案にしてしまうようなことをすると それは周回遅れになってしまいますよね

ファッションデザイナーは、少し先の未来の装いを想像することが必要で今の流れを踏まえたうえで更にそこを想像することが役割なのかなと思います。

ビアンカ:ヤシゲは感覚が早いので、「ちょっと早すぎじゃない?」とか「これっぽくない?」という理由で私が弾いたりすることはありますね。それでもやりたい場合には、しっかり理由も含めてプレゼンしてもらってやる事もあるんですけど、「これっぽい」というのは言われたくないので、意識的に避けてる部分はあると思います。

小林:それで言うと、吉田ほど直近のモノと被るのを避けようという意識は強くない?

ヤシゲ:避けようという意識はしないようにしていて、むしろ、今店頭に並んでいるもののリサーチから始めて、色々なものを見た上で次に何を作ったら良いかを考えています。ただ、その中で見たものをちょっとだけ変えてデザインしたりということはないですね。

―先ほどの話の中でも出てきましたが、CELINEやBALENCIAGAなどトレンドの最先端も含めて海外のブランドに対して、日本や東京といった地域性は意識的にクリエイションに反映させていますか?

ヤシゲ:僕はそこを追求したいというか、東京を代表するブランドになりたいと思って作ってます。

吉田:東京にずっと住んでるし、たとえ意識してなくてもどうしてもトウキョウナイズされてしまう部分はあるというか、それはどこまでいっても避けられないのかなって思いますね。

ヤシゲ:そうですよね。さっきのコンセプトの話にも繋がるけど、普段見ている東京の街の雰囲気や空気感みたいなものからデザインをしていくので、必然的に東京っぽいモノになっていくんだと思います。

ビアンカ:客観的に見ても《KEISUKEYOSHIDA》はミックス感とかも含めて東京っぽいのかなと思いますし、自分達にしてもCELINEやBALENCIAGAも見ますけど、リサーチの中では109も見るし、古着も見るのでその辺りのミックス感が東京っぽさに繋がるのかなと思います。

―それらは、現在は東京をベースにして、日本のマーケットをメインに服を作っているからとも言えると思います。今後、発表の場やターゲットを海外へと広がった場合でも今のスタンスは変わらないと思いますか?変えないまたは変えたくないと思っているとか。

ヤシゲ:僕は変わらないんじゃないかと思いますね。圭佑君はどうですか?

吉田:僕はスタンスは正直わからないですが、ちょっとした部分の意識は変わると思います。海外で何をするかによるとは思って、日本を中心に同じ展示会を海外でやるって感じなら変わらないと思うけど、例えばショーをやるとしたら向こうの文化や歴史を学ぶ必要はあると思うし、そこに対しての意識を持たないとダメなんじゃないかなっていますね。どこで、何を、どういう風に発表するかはすごい重要だと思うので、その土地に合わせて調整する部分出てくるんじゃないかな。

ビアンカ:私もあんまり変わらないんじゃないかなと思いますね。でも、あんまり日本ブランドっていう風には思われたくないですね。

小林:でも、東京のブランドっていう風には見られたい?

ビアンカ:そこはちょっと自分の中でも矛盾してるなって感じるんですけど、よく周りから海外ブランドっぽいっていう風に言われることが多くて、そのイメージ自体は嬉しいんですよね。

吉田:日本で生まれ育ったことによって、デザイナーそれぞれに独自の日本性みたいなのが馴染んでいて、意識してるかどうかは別としてどうしても土着性みたいなものが出てくるんじゃないかな。

―実際に、タイミングはわかりませんが、海外にも積極的に出て行きたいという考えはありますか?

ヤシゲ:それはありますね。

ビアンカ:海外のお店に置いてもらって、反応を見てみたいっていうのは常にあります。

ヤシゲ:ブランドを始めたばかりの頃は無知だった事もあって、日本のブランドとしてそれを求めて海外から人がくるようなブランドになりたいって思ってたんですけど、世界は広いし、自分から出ていかないと見てももらえないから、見てもらえる場所に行ってみたいと思うことが増えてきましたね。それこそ、圭佑君が上海で展示会したのとかもすごい興味あるし、それを経験したら考え方が変わるかもしれないからトライしてみたいと思いますね。

ビアンカ:さっき言ったようにより多くの人に見てもらいたいとは思いますが、自分がハーフだからっていうのもあって、海外がそんなにすごいとも思っていなくて。

吉田:僕は、やっぱりパリへの憧れあります。コレクションを見てファッションデザイナーになりたいと思ったので、やはりパリコレヨーロッパのファッションへの憧れ強いです。やるからには継続することが重要だと思いますし、まだまだ全然先の話ですけど、もっと頑張っていつか挑戦できたらって思いますね。

ヤシゲ:憧れっていう意味では、僕はそんなに無くて、今でもパリでもミラノでもニューヨークでも通用するものをデザインしていると思っているし、マーケットを拡げるという意味でアジアも含めて日本以外にも展開していきたいなと思ってますね。

小林:《KEISUKEYOSHIDA》は発表の形式としてショーをしてますけど、そういうのを見て《TENDER PERSON》はショーをやってみたいとかは思いますか?

ヤシゲ:ん~、ないと言えばないし、あると言えばあるし。近くに圭佑君がいるので、それを見てるとやってみたいなと思うこともありますけど、タイミング的に今ではない気はしてますね。

ビアンカ:私は求められたらやるんじゃないかなと思います。

小林:求められるというのは、お客さんにですか?

メンドンサ:そうですね。お客さんから《TENDER PERSON》のランウェイショーが見たいって言われたら、やるんじゃないかと思います。

ヤシゲ:ショーをやりたいっていうのはベースに無いので、自分達からっていうのはないかもしれないですね。ブランドによってランウェイの意味って変わってくると思うんですけど、取り扱いの店舗が増えたり認知度が上がった時に自分たちがランウェイをやる意味が出てくるのかなと思います。

吉田:僕は、一番はやっぱりやりたいからやってるっていうのがあって。

ショーがファッションを表現するのには最も適していると思っているし、モデルが服を着て出てくるだけなんだけど、そこに新しい空気を感じたり、次のファッションを感じられるっていうのはショーならではですごくドキドキしますよね。うちはショーじゃなきゃきっと作らない服多いし、今、なんかそれが大事な気もするんですよね

 でも、ショーをしないで展示会をメインにしたら自分はどういうデザインをするんだろうなっていうのも最近ちょっと気になって考えていたりします。

ヤシゲ:自分たちもショーをやるとなったら作る服が変わってくるんじゃないかと思います。ランウェイで映える服を作りたいって思うだろうし。

吉田:ショーをやる時は、ビアンカ(メンドンサさん)がデザインをする比率が今より増えそうなイメージあるね。笑 

客観的な僕の《TENDER PERSON》の見方なんだけど、スタイルに強いのがビアンカで、プロダクトに強いのがヤシゲなんだよね。だから、ヤシゲの真面目さと、ビアンカの不安定さの調和が《TENDER PERSON》ならではのスタイルになってるような気がして感情的で直感的な大胆な服はビアンカ発が多い気がするし、そこでスタイルのバランスを崩しているのが《TENDER PERSON》の印象にあって

ヤシゲ:それは、そうかもしれないですね。作り方としては色々な方法でやってるんですけど、最終的にはどっちが作ったかわからないのがいいとは思ってるんですよね。

―作り方も発表の形式も異なる二組ですが、日常的にリサーチもしてるでしょうし、過去に遡って服を見ることもあると思います。その中で、影響を受けたヒトやモノやコトを1つ挙げるとしたら何でしょうか?

吉田:やっぱり《RAF SIMONS》ですかね。影響を受けたっていうか単純に好きっていうか。最初のコレクションなんか参考にしてみたこともあります。ただ、直接的に影響を受けているのはもっと近い人からだと思いますし、難しいですね。

ヤシゲ:僕は好きなデザイナーで言ったら《MAISON MARTIN MARGIELA》ですかね。《SONIA RYKIEL》も好きかな。ただ、影響を受けた人は、《AMBUSH》のYOONさんです。

メンドンサ:私は影響を受けた人で言ったらレディー・ガガです。デザイナーはヴィヴィアン・ウェストウッドかな。

吉田:まえにも僕たちで話したことがあるんだけど、こんな見た目したヤシゲがマルジェラを一番好きっていうのはなんかすごいグッとくる。いい話ですよね。笑 

小林:影響という意味では、どこかのブランドでアシスタントやデザイナーを経験してから独立したわけじゃないと思うけど、それがクリエーションに与える影響はありますか?

吉田:やっぱりどこかでアシスタントを長くしてると、作り方とかも含めてどうしてもそれが礎になるし、その殻を破るのって難しいことだと思うので、そういうのがないのは《TENDER PERSON》も僕も、逆にいいことなんじゃないかなと思うようにしています

ヤシゲ:圭佑君は海外で働いてみようとか思ったことないんですか?

吉田:妄想レベルで考えたことは学生の頃たくさんあったけど、英語喋れるわけでもないし、スキル的にも働ける気がしなかったし、そこに向かって努力するより、自分のブランドをやることを頑張ってみたかったんだと思う。

でも、メゾンブランドがどういう風にコレクションを作ってるんだろうとかすごく気になるし働いてみたいかもしれない

ヤシゲ:それはありますよね。昔は、とがっていたのもあるかもしれないですけど、どっかのブランドで経験積んでから自分のブランドを立ち上げるということ自体が、かっこ悪いとさえ思ってたんですけど、今は自分たちでもブランドをやっているからこそ興味がありますね。

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