日本だけでなく海外での活躍も期待される《KANIZSA》デザイナー本田氏とクリエーションを共にするスタイリスト岡本氏、フォトグラファー柳岡氏によるフォトセッション【Part 3/3】

マイペースに作られる《KANIZSA》の服が世界で再発見される日も遠くはないのではないかと思わされた。口数の少ない寡黙な求道者的デザイナーが、信頼する仲間とともに作る世界観は、これからどんな進化を見せるのか。

2018.05.28 Mon

メンズとレディースの分類やシーズンの話でも、環境としてそれらがあるからと言うことですが、「東京」や「日本」のブランドということを意識してデザインをするということはありますか?環境としての「東京」や「日本」はどの程度影響しているのでしょうか?

本田:その辺はあまり意識したことないですね…。これだけは強く言いたいんですが、皆さんが思っている以上に僕は何も思ってないというか、考えてないんですよ!本当にただ作ってるだけの人なんです。

なるほど。笑 ただ、本田さんがパリやロンドン、ニューヨークなど東京とは違う街に住んで服を作っていたら、そのことによってどれくらい違うものが出来るのかなということが気になります。

岡本:自分が見ている感じでいうと気候的に寒かったらアウター多めに作ろうとか、それくらいなんじゃないかと思いますよ。

本田:多分そうですね。

小林:東京とかそういうレベルではなく、単純に街中で若い子のファッションからインスピレーションを得るなどということもありませんか?

本田:見て良いと思ったから、それを作ろうとかはないですね。それはもう世の中にあるってことなので。ただ、流行っているモノの「ちょっと外側」に行きたいとは思いますね。まだ誰も着ていないものを作るということがブランドをやる意味なのかなと考えています。

ご自身があまり意識していないにも関わらず、最終的に出来上がった服から東京っぽさを感じるというのは面白いですね。出そうというよりは、滲み出てるような印象を受けます。

本田:それで言うと、僕以外のチームの人たちがちゃんとまとめてくれてるって言うことがあると思うので、ありがたいです。例えば、写真も自分で撮ってとなったらハンガーにかけた服を撮って終わりだと思いますし。笑 なので、チームに投げて初めて完成させてもらえてるという感覚ですね。

そこまで服を作ることに強い想いを感じたのには、どういったきっかけがあったのでしょうか?学生時代に〇〇のデザインに影響を受けたとか。

本田:きっかけはあるあるみたいな感じなんですけど、中学生くらいの頃に古着を買うようになって、高校時代は洋服屋さんでバイトしてみたり、普通の洋服好きな人と変わらないと思います。なので、あまり有名なメゾンブランドのアーカイブとかは知らない方なんじゃないかな。一応毎シーズンのコレクションなどは一通りチェックしたりはしますけど、詳しいことはわからないです。

小林:展示会などでお話していても、あまり他のブランドなどには興味無さそうではありますよね。

岡本:単に他の人に興味ないんだと思いますけどね。笑 

本田:たまにお店に行ったときに、「これはすごいな」と思うことはありますし、手に取った服のタグを見たら大体いつも同じようなブランドだったりするので、それは個人的な趣向として好きなものなんでしょうけど、ブランドありきで調べたり見に行ったりということはないですね。

小林:そういう服の見方などからも、職人気質なんだなって思います。

本田:そうなんですかね。でも、外で見たものは自分の服には絶対に入れないようにしようと思っているので、それはポリシーと言えるかもしれないです。

岡本:彼の場合、たまたま服だったというだけで、絵画でも陶芸でもなんでも良かったんじゃないかなと思いますよ。

結果として作られた服は日本と同じように海外でも見て欲しい、着て欲しいと思うことはありますか?

本田:積極的にというわけではないですが、機会があればとは思ってます。2018awから海外での取り扱い店舗が決まったということもありますし、インスタなどでも海外の方からのアプローチが多いので、もしかしたら日本よりアジア圏も含めて海外の方がウケるのかもしれないと思ったりすることもあります。

小林:以前にコンテストなどにもあまり興味を持っていないとおっしゃってましたのが、そういった方法ではないとしても個人的には海外でもどんどん展開していって欲しいです。岡本さんや柳岡さんは、普段のお仕事で《KANIZSA》の服をリースして撮影に使用することもありますか?

柳岡:結構ありますね。以前、WWDのヘアコンテストに作品を出されるヘアメイクの方がいらっしゃって、岡本さんと一緒に関わらせて頂いたんですが、その時に衣装として《KANIZSA》を使わせて頂きましたね。結果、グランプリを獲られたので使わせて頂いた甲斐がありました。

岡本:ヘアメイクの方が《KANIZSA》のファンだったみたいで、是非使いたいという希望でしたね。

リースや展示会で購入されたお知り合いの方以外で、全く面識のない方が街で《KANIZSA》の服を着ているのを見かけたことはありますか?

本田:それはないですね。認知度も低いですし、いるとしたら知り合いだと思いますね。

小林:でも、見かけたら相当嬉しいでしょうね。

本田:嬉しいとは思います。ただ、例えば岡本や柳岡さんはウチの服をサラッと着てくれるんですけど、如何せん自分で着てる時の職質受ける確率がめちゃくちゃ高いんで気をつけた方がいいかもしれないです。笑 

岡本:ただ、仲間内で被るのは嫌なので個人的にオーダーする時は誰が何をオーダーしたのか確認してからにしますね。笑 

柳岡:僕も同じですね。せめて色違いにしようとかね。笑

先ほど、コレクションはチェックはしていると仰っていましたが、同年代くらいのブランドで気になるブランドなどはありますか?

本田:どうだろうな…。さっきの話と同じになっちゃうんですが、そもそもあまり他の人に興味がないというのが大きいんですし、人の家のことを気にしてる暇がないって感じなので、ほとんどないですかね…。

小林:良いと思うのは先ほどの話にもあったようにパターンだったりが基準としてあると思うんですが、逆に「こういうのはちょっと…」というのは何か基準があるんでしょうか?

本田:ぱっと見で「これはこのシーズンのこのブランドと一緒じゃん」と思うものは好きじゃないですね。服のオリジナリティーがどこにあるのかって感じですね。

小林:やっぱりそこに対しては、かなり強いこだわりがあるんですね。それでいうと《KANIZSA》は唯一無二なモノづくりされていると感じますし、自負もあるんでしょうね。

本田:見たことのあるものを作るのは自分のやる仕事ではないと思ってますし、極端に言えば本当に良いと思ってくれる人が着てくれれば良いのかな。

先ほどの海外の話もそうですが、はっきりとした反応が返ってくる環境でご自身のクリエーションを磨きあげていくことだけに集中できると良いですよね。

岡本:日本だと良くも悪くもどっちつかずというか、グレーな反応が多い一方で海外は良いか悪いかハッキリしていると思いますし、少なくとも今はそういう環境ではないと思うのでそういう環境も経験することで、もっと良いものが作れるんじゃないかと思いますよ。

本田:今は《KANIZSA》というブランドを最優先に考えていきたいので、海外の話も含めて着実にやっていけたらと思います。

-SPCIAL THANKS-
岡本 健太郎(スタイリスト)
柳岡創平(フォトグラファー):www.soheiyanaoka.tokyo

【編集後記】

以前《KANIZSA》について記事を書いた時には、デザイナーの本田氏がどんな人なのか全く知らずに純粋に服だけの印象を受けて記事を書いた。今回インタビューに際して本人に対面したその瞬間に、僕が服からイメージしたデザイナー像は概ね正しかったと思った。違ったことと言えば、想像よりも少しだけ背が高かったくらいだろうか。

フォトグラファーやスタイリストという《KANIZSA》を支えるチームメンバーの方も交えてお話を伺っている中で、感じたのはデザイナー本人の強い職人性だ。その姿は1つの道を極めようとする宮大工や左官職人のようだった。そして、その職人としての性(さが)を理解し、互いに尊敬の念を持ちながらも、強みを最大限活かそうとするメンバーとの共同作業によって《KANIZSA》は作られているのだろう《KANIZSA》の職人性が日本以外の場所で再発見される日はそう遠くはないのかもしれない。

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