「服を作るということ以外には興味がない」と語る生粋の職人肌のデザイナー《KANIZSA》デザイナー本田氏と彼とクリエーションを共にするスタイリスト岡本氏、フォトグラファー柳岡氏によるフォトセッション【Part2/3】

本田氏を「完全に偏っている」と笑いながら話すスタイリスト岡本氏と「最初は何も説明されずに困った」というフォトグラファーの柳岡氏。それぞれがプロフェッショナルとしてリスペクトしながらクリエーションをおこなっていることが垣間見えた。

2018.05.22 Tue

小林:2018ssで畠山千明さんをモデルに起用したのも、岡本さんや柳岡さんが提案されたことなのですか?

岡本:僕と岡本さんがそれぞれ別の現場で千明さんにお会いしていて、千明さんのお話を聞いていてもヒップホップがお好きだったりと(本田氏と)共通する部分はあると思っていたんです。撮影の話をしている時に、モデルのイメージとしてパンチがある子が良いだったり、坊主の人が良いということを聞いた時に、千明さんが良いんじゃないかと思って提案しました。

本田:2018ssより前の2シーズンは、もっと女性らしいイメージでビジュアルを作っていたんですけど、始めて一年も経っていなかったですし、その時はやり切ったつもりでも後で見た時にこうしたら良かったと思うことも少なからずあって。服だけに限っても当時は感じていなかったですが、今見ると「薄いな」と思うことが多かったので、2018ssに関してはスタイリングなど服を作る以外のことはみんなに任せれば良いし、出来るだけ自分の好きなことをやってみようと思いました。

なるほど。チームで作っていく場合、サンプルが上がってくるより前の段階、例えばコンセプトやイメージボードなどを作った時点で共有することも少なくないのかなと思うのですが、そういったことはしないのでしょうか?

岡本:僕は立場的にサンプルより前のトワルの段階では見ることもありますね。

小林:その時点で、服に対してこうしたほうが良いなどのアドバイスをすることはあるんですか?

岡本:多くはないですが、たまにありますよ。アドバイスというか、スタイリストとして「これはちょっと濃すぎるんじゃない?」などの話をすることはあります。2018awの袖が3本あるコートを見た時にも「それどうするの?」って聞きました。笑

本田:でも、反対されるとやりたくなるじゃないですか?笑 そもそも、シーズンごとの明確なコンセプトもほとんどないので伝えようがないというか…。最近は、ちらっとこんな感じっていうくらいのことはチーム内で話したりすることもありますけど。

柳岡:本当に最初の頃は何も話してくれなかったので、正直困りましたよ。笑 本当に服だけを見せられたので、「これ、何かテーマとかないんですか?」っていう感じでした。実際、作っているご本人の中では何かしらあると思うので、フォトグラファーとしてはそこを共有して欲しいっていう気持ちがあるんですが、なかなか教えてくれなくて…。笑

本田:言葉にするのが得意じゃないというのはありますけど…、すいません。笑 僕は服さえちゃんと見えればそれで良いという気持ちが強いんです。そういう意味でも二人は自分の「濃さ」を薄くしてくれるのが良いのかもしれないですね。

本当にブレないというか、一貫して服にしか興味がないということですね。《KANIZSA》のブランドコンセプトとして、パターン・テキスタイル・縫製という3つの要素について触れられていますが、本田さんの中ではまずパターンが優先という感じでしょうか?

本田:そうですね、パターンが最優先です。なので、さっき話に出た腕が3本あるコートとかも、そういう製図をしたらどうなるのかなっていうくらいにしか考えていなくて。単純にやってみたいからやるってことしかないんですよね。どういう人が着るかとかそういうイメージがなくても、服が出来ればあとは周りがなんとかしてくれると思ってますし。

岡本:完全に偏ってますよね。笑 

パターンによる造形への興味が強いというか、むしろそれしかないという感じですが、服を作っている時に、この服はこういう人が来てくれたら良いなとか想像することもないんでしょうか?

本田:前も今も一切無いですね。こういう服があったら面白いかなという程度です。

小林:そういう形で作られた《KANIZSA》の服をお二人も着ることはあるんですか?

岡本:もちろん、あります。

柳岡:僕は今日も着ていますね。

本田:二人ともブランドの中でも薄めのものを選んで着てくれていますね。

小林さんは、服を選ぶ基準の1つとして「他の人と被りたくない」というのが強いと仰られていますが、その考えから言っても《KANIZSA》は自分で着るという視点でもハマりそうですよね。

小林:そうですね。ファーストシーズンは好きだったけど、広がり過ぎてそのブランドから離れてしまうことも少なくない中、《KANIZSA》は毎回のコレクションがこちらが少し躊躇するくらい濃いので、バイヤーとしてだけではなくて個人的に着用する服としても好きです。良い意味で万人ウケしないというか極端なのがポイントだと思います。社内のエレベーターでも「その服どこの?」って聞かれますし。笑

柳岡:この間、コンビニのおばちゃんに「お兄ちゃん可愛いの着てるね」って写真撮られましたよ。笑 

意外と万人ウケしてるのかもしれないですね。笑 アイテムによってはご自身でも着用されるということですが、ブランドとしてユニセックスやジェンダーレスというのは重要な要素なのでしょうか?男女どちらでも着れないとダメであったり。

本田:いや、そんなことはないです。作りたい服を考えている時点では、そこに顔はないので、ある程度完成形が見えて着た時点で自分でも着れると思ったらユニセックスにしますし、そうではなかったらレディースにするだけのことです。

あくまでも作りたいものが先にあって、それが結果的にユニセックスなのかレディースなのかということですか。

岡本:それも学生時代の延長線上のことだと思うんですよね。前提として自分で着たいものや作りたいものを作るというのがあるので、他のデザイナーさんと違ってどんどん服が出来上がって行くので凄いなと思います。

ユニセックスかレディースかということだけでなく、もはやシーズンすら恣意的に区切っているだけなんですね。

本田:そうです、そうです。タイミング的にここまでに出来ているものをまとめて発表してるっていう感じなので、展示会の時には自分の中でも鮮度がないんですよ。撮影してるくらいがギリギリくらいかもしれない。

岡本:もちろん作っているものに愛着はあると思うんですが、次へ次へって感じでひたすらに作っているので撮影の時ですら、ちょっと飽きちゃってる時あるんですよ。笑 

柳岡:撮影している時に次のシーズンの話してくるので、「ちょっと待って、ちょっと待って」ってなりますね。まだこのシーズン終わってないからって。笑

岡本:本当にその辺は他のファッションデザイナーさんとは圧倒的に違うところなのではないかと思いますね。普通ギリギリまで考え抜いて絞り出すっていう感じだと思うので。

Part 3/3に続く

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KUDOS 2018ss collection

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