相反する要素を違和感なく心地良いアイテムに昇華する《PULETTE》デザイナー郡司杏さんへのインタビュー【後編】

「無機質なものと温かみのあるものが融合している感じが好き」

2018.05.09 Wed

BOICE:モノや情報が溢れている現在のファッションシーンの中で《PULETTE》に近しいと思われるものもあると思います。その中で、《PULETTE》らしさというとどういったところになるのでしょうか?

郡司:静かな佇まいを大切にしていて、シンプルだからこそフォルムやさりげないディテールに配慮して作っているので、そこは強みだと考えています。シンプルでありながらも、少し長めに入ったスリットなど小さなディテールの積み重ねによって生まれるフォルムにはこだわりがありますね。

BOICE:そういったディテールは、例えば古着などからインスパイアされているといったこともあるのでしょうか?

郡司:そういったことも全くないというわけではありませんが、多くはないですね。建物や抽象画のようなアート作品が好きで、そういったフォルムやラインにインスパイアされて、それを服で表現するためにディテールを決めていくことが多いですね。服は立体物なので、人が着た時のシルエットやしなやかさ、動きの中で生まれるラインは意識して作っています。

BOICE:建築やアートから影響を受けることが多いということですが、特に好きな作家や建築家などはいらっしゃいますか?

郡司:特定の作家や建築家はいませんが、先日は安藤忠雄さんの建築を観に行ったりしましたし、前川國男さんの建築が好きというのはあります。特に、日本の古い建物が好きで、「螺旋階段」や「ランプ」、「タイル」などから着想を得ることは多いかもしれないですね。

BOICE:《PULETTE》はシーズンによってテイストが大きく変わるというブランドではないと思うのですが、シーズンごとに明確なテーマなどは設けているのでしょうか?

郡司:2018秋冬シーズンだと、「異なる表情を合わせる」ということをテーマにしているのですが、明確に「〇〇がデザインした建物」ということはあまりないです。立体的なフォルムはシーズンによらずあるかもしれないですね。

BOICE:先ほどの女性像やテーマ性はルックなどのビジュアルにどういった形で反映されているのでしょうか?

郡司:基本的にマニッシュな中に女性らしさを感じる人がブランドがイメージする人物像なので、モデルさんのキャスティングも気を使っています。2018ssシーズンは、光の入り方なども含めて自分が好きな建物である東京国際フォーラムで撮影したのですが、秋冬はもう少しパーソナルというか内面にフォーカスしたので、部屋をイメージした空間で撮影を行いました。

BOICE:国際フォーラムはとても気持ちの良い空間ですよね。ルックからも開放感というか明るさを強く感じましたし、内に秘めた強さは一貫していますね。《PULETTE》のイメージとしてはフランス映画に出てくるような女性のようなしなやかな強さを感じます。

郡司:そう言って頂けるのは嬉しいですね。先ほどお話しした建築にもつながるかもしれないですが、無機質なものと温かみのあるものが融合している感じが好きで、自分が身長が低いということもあって「強いもの」や「男性もの」に憧れを感じることが多いんです。それもあって、《PULETTE》の服はメンズの仕様で左前の仕立てになっています。フランス繋がりじゃないですが、女性が女性として着るための服を作り続けていたココ・シャネルは好きですね。

BOICE:テーマを決めて、デザイン画を書いて、パターンを引いて、サンプルを作って、ビジュアルを作ってと様々な工程があると思いますが、郡司さんが一番楽しいと感じるのはどういう時でしょうか?

郡司:そうですね、先日ドリス・ヴァン・ノッテンのドキュメンタリー映画を観て、本当そうだよなって共感してしまって。辛いというか大変なことの方が多いですね。答えが見つかるということはないんだろうなって思うので、デザインしたものが誰かが来ているのを観た時に「あっ、可愛い」と思えた瞬間はそれまで悩んだことが報われたと思いますね。あと、ふとしたタイミングに昔の服を着た時に、可愛いなと思えると幸せな気分になることもあります。

BOICE:生みの苦しみを味わった人だけが感じられることでもありますし、そのように感じられるのは素晴らしいですね。自分の作ったものを人が着てくれることはデザイナーとして嬉しいことだと思いますが、街中でご自身がデザインされたものを着用している方を見かけたことはありますか?

郡司:一度だけ駅で見かけたことがあったんですけど、本当にすごい嬉しかったです!嬉しすぎて声を掛けようかと思ったくらいで、少しだけ後を追いかけてしまいました。笑 今思い返すと恥ずかしいですね。

BOICE:それは相当嬉しかったんですね!笑 ブランドの規模が大きくなると、街で見かけるような機会も増えるのではないかと思いますが、今後《PULETTE》をどのようなブランドにしていきたいなどのビジョンはありますか?

郡司:自分の目が行き届く範囲で少しでも良い服を作っていけたらと思っています。

BOICE:ブランドにはしっかりとファンがついていると思うので、規模よりもフォルムやライン、素材にこだわった服を作っていって頂きたいです!気が早いですが、秋冬シーズンも今から楽しみにしています!

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